忍者ブログ

NOG@ブログ

ラクガキとか、こっそりレビューなど。(ほぼ801ネタ。ご注意ください) ☆サムネイルは、画像クリックで拡大します☆

2024'05.19.Sun
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2006'12.29.Fri

攻殻サイト、日記からの続きです。


ソファに座っていた茶色い髪の青年が、ふらりと席を外す。
すぐ隣にいたバトーは、その後姿が室内から出て行くのを見送ってから、黙って立ち上がった。
賑やかな9課の宴会が続く中、二人の様子を気に留める者はいないことを、義眼の端で確認する。
やや空調の抑えられた廊下に出ると、疲れた体にワインが効いたのだろうか、ほんの少し足取りのおぼつかない青年が、それでも自力で洗面所に消えていくのが見えた。
ポケットから煙草を取り出し、カチリとライターで火をつける。

―ったく。飲みすぎだ。あの馬鹿が…。
体内プラントなど持っていない生身の体で、それでも下っ端であれば勧められれば飲まざるを得ないのは承知の上だが、もっと要領よくやってもいいだろうと、バトーは渋い顔をする。
紫煙を吐き出しながら窓の外を見ると、さっきまで暗い空に瞬いていた星が、いつの間にか消えていた。
サイボーグに体感温度などあってないようなものだから気づかなかったが、もしかしたら、この後雪に変わるのかもしれない。

トグサが化粧室に入ってから、10分。
コーナーの灰皿に吸殻を押し付け、偶然と言って十分に通用する頃合を見計らい、バトーはゆっくりと中に足を踏み入れた。
赤い顔のトグサが、洗面台に両手を突いて俯いている。
バトーが近づくと、ほんの少し困ったような顔をあげた。
「大丈夫か。お前」
「ああ、旦那」
普通に話してはいるが、息が荒い。
「吐きそうか?」
「いや…大丈夫」
「なら、戻るぞ」
「旦那」
呼ばれてバトーが振り向くと、いきなりジャンパーの襟首を両手で掴まれる。倒れるのかと思った瞬間に、唇に熱く濡れた感触が押し付けられた。
バトーの唇から顎まで執拗に舐めながら自分で興奮しているのが、当たった下半身でわかる。
「トグサ」
「ん?」
「お前。何、サカってやがんだ」
人が心配してきてみればと、バトーは半ば呆れた。
「いいだろ。付き合えよ」
「だからな。このまま二人で戻らなけりゃ、ヤツらに何言われるかわかんねェ…って!」
全部言葉にする前に、もう一度尻尾になった髪をぐっと引っ張られる。今度はねっとりと舌を絡ませて、太ももを擦り付けて、本当に発情した犬のようだ。
「この野郎。てめえがその気なら、このままここで襲ってやっても、俺ァ別にかまわねぇんだぞ」
大人しくされるままになっていたバトーが耳元で唸ると、トグサは途端に泣きそうになった。
「旦那。なんか変だ。俺」
「はぁ?さんざん好き勝手やっといて、なんだ、そりゃ」
「あれ。あの鑑識からもらってきたアレ飲んでから…」
効能は調査中と言っていた謎の飲み物だが、ただのドーピング剤だ。一時的に身体機能を飛躍的に上げるもので、闇市場では普通に販売されている。実際バトーも口にしたが、別にどうということはない。
ならば、機械化していない人間にだけ特別な反応があるのだろうか。
「どう、変なんだよ」
「あんたを…」
自分の中の何かと戦いつつ、トグサは少しだけ言い淀んだ。
「引きずり込みたい」
トグサの潤んだ視線の先には、個室が並んでいる。
非常に危険なことを言い出す同僚の獣じみた瞳に一瞬目を奪われながら、バトーはその個室にトグサを押し込んで座らせた。
こんなものを、お茶目な9課メンバーの前に持ち帰るわけにはいかない。
「いいか。ここで待ってろ」
頷くトグサを残して、一人廊下に戻る。
「全く、人の気も知らねぇで…」
早く戻ってきてくれと小声で告げたトグサを思い出して、頭をかきながらバトーはぼやいた。


「よう、少佐。あいつ、もう帰してもいいだろ」
まだ飲み続けている草薙の後ろに立ってぼそっと呟くと、彼女は意外にもあっさりと頷いた。
「ダメよ、これからじゃない…って言いたいところだけど。仕方ないわね」
「なんだぁ?やけに話が早いじゃねぇか」
「あれよ」
ため息をつきながら細い指が指した先では、シャツを脱いだ鷹の目を持つ男がテーブルにつっ臥している。
「…あいつもか」
「散々謎の踊りをご披露した後、あっさり撃沈よ。もう少し、サイトーとも飲みたかったのに」
カラカラとドーピング剤の空き缶を振る草薙に、全く悪びれたところはない。
「お前、男で遊ぶなよ…」
「いやね。人聞きの悪い」
「事実だろうが」
「ま、いいわ。トグサはあなたが送ってあげなさい」
「悪ぃな」
「いいわよ。後はイシカワに付き合ってもらうから」
「俺か。怖ぇな、おい」
「だって、他の連中も酔って死にそうになってるし」
少佐に首根っこを掴まれても口ほどには困ってなさそうなイシカワが、悪戯そうな目でバトーを見上げた。
「この利子は高ェぞ」
「なんで俺が…。取り立てるなら、トグサだろ」
「別にどっちでもいいがな。早く行けや」
「ああ」
これで、やっと、実に9課らしいと言える馬鹿騒ぎは終わりだ。
どこにトグサ隠してきたんだ?と笑うイシカワを無視して、バトーはとっととドアを閉めた。


洗面所に戻り個室をノックすると、すぐに鍵が開き、中から心細げなトグサが顔を出した。
「なんだ。そんなに待ってたのか?」
からかいの言葉に怒るかと思いきや、トグサはバトーを引き込んであっさりと頷く。やはり、どこかおかしい。
他のビルよりは広く綺麗とはいえ、本来一人用のスペースに決して小柄ではない男が二人。嫌でも顔が近くなる。
「お前、帰るんじゃねぇのか」
「ん…。家には、さっきメールしたんだ」
その瞬間だけ家庭人の表情をして、申し訳なさそうにトグサは下を向く。
「それよりさ」
まだ横を向きながら、トグサはポケットに手を入れた。
「約束したんだよな。あんたと」
指先で取り出したのは、赤いリボンだ。まだ持ってたのかとバトーが驚いていると、トグサは更に続ける。
「あんたの好きなこと、してやるって」
「好きな…?あ!」
「俺、あんたにプレゼント、何もないし」
「そりゃ、お互い様だろって、ちょっと待て!トグサ」
「恥ずかしがらなくてもいい。あんたがどんな趣味でも大丈夫だ」
それは誤解だとか、なにもこんな狭いところでしなくてもとか、いろいろ言いたいことはあるのに、何から突っ込んでいいのかわからない。
「…改めてまともなトコに行くんじゃ、やりにくい」

―そういうことか。
やっと、わかった。
トグサがわざわざトイレから動かないのは、移動する時間が待てないだけでなく、バトーの期待に応えるために特殊な環境で理性を飛ばそうとしているのだ。
「だから。手、出せよ」
怒ったようにバトーを見つめてくるトグサが、ガラスの義眼に映る。
「…じゃ、ま、せっかくだから貰うことにするか」
「あ!」
バトーは、素早くトグサからリボンを取ってその手首にくるくる巻くと、ドアの上部にある荷物かけにぶら下げた。
「だ、旦那?」
気がつけば、両手を上に伸ばしたまま身動きなくなってしまったトグサが、慌てて首だけで振り向く。
「いい格好だなァ。お前」
「こ、これ。逆だろっ…ぁ」
後ろからトグサを包み込むように手を回し、何をしているかわかるように、わざとゆっくりベルトを外す。
背中からバトーにすっぽり覆われて、体の深いところから湧き上がる震えを悟られぬよう、トグサは小さく身じろいだ。
「逆じゃねぇよ。馬鹿」
「なんでっ」
下着ごとスラックスを膝まで引き下ろされ、露になった男根に空気が触れる。
勃ちあがったそれを一度軽く掴んでから、バトーの手は後ろに回り、剥き出しの尻を撫でる。
「こんなとこじゃ、のんびりしてられねぇ。ちったぁ我慢しろよ。てめぇが悪い」
ポケットから潤滑剤のクリームを取りだしたところで、後ろを向いたトグサと目が合う。
「そ、そんなの、持ってたのか」
「…取ってきたんだよ。今」
世話かけさせんじゃねぇと鼻を摘んで、トグサが顔を顰めた隙に、クリームを掬った指を狭い穴を擦る。第一関節まで入れたところで、バトーは動きを止めた。
「痛ぇか?」
首を横に振ったのを確かめてから、もう一度。滑りをかりて、周りから少しずつ満遍なく濡らす。
「う…ぁっ」
ひくひくと震えるそこに指を差し込むと、誘うように内壁が蠢く。もう一本増やして、中で人差し指と中指をくいと広げた。
「ん、…ぅっ…」
息を呑んだトグサの吊るされた腕と内股が緊張し、酸素を求めて口が開く。
「あ、は…」
やや性急だが十分に解れたとみて、バトーは自分自身にも潤滑剤を塗り付けた。
壁に自分の腕をぶつけながらトグサの腰を引き寄せ、とろとろとクリームの溢れる狭間にあてがう。
「俺だけプレゼント貰うんじゃ悪いからな。お前にもやるよ」
「くっ…あ!」
バトーの大きな男根が、後ろから圧倒的な圧迫感を持って侵入してくる。
「あ、あ…」
思わず腰を引いたためにドアに勃ったものが付いて、堅さと冷たさにトグサは震えた。
もう少し、というところで、バトーが止まった。
「っ…!」
「もっと奥だろ。トグサ」
浅い位置で小刻みに揺らすバトーに、トグサは泣きたくなる。
「くそっ。ばか!…あ」
「もっとって言えよ。なぁ」
耳元で低く囁かれて、トグサの全身がかぁっと熱くなる。
「旦那…」
「どうなんだよ」
バトーの指が、セーターの下に潜り込んで、乳首を摘む。
微かな痛みと強い快感に、たまらずトグサはバトーを締め付けた。
「…もっと、奥まで」
それを聞いて、バトーは一気に深いところまで突き立てた。
「……ぁ、ああっ!」
ぎりぎりまで引いて、また最奥まで。
「は、…や…あっ」
不自由な体勢で体を揺らして泣くトグサの手首を一度撫でてから、角度を変えて突き上げる。
「ちったぁ、声抑えろ」
「だって、あんたが…。あっバトー…!」
静かにと言いながらも、もっと聞いていたいと思うので、中に強く押し込みながら前を擦ってやると、トグサが息を呑む。
「旦那…解いて…。服が…」
「俺の手の中に出せよ」
「や、やだっ。あっあっ!」
うねる様に腰を押し込んでやると、トグサが堪えきれずに吐き出す。ひくひくと震える内部に自分も持っていかれながら、バトーはその首筋にそっとキスをした。


駐車場を出ると、案の定ちらちらと白いものが降っていた。
「雪だな」
「こんなの、寒いだけだよ」
バトーの言葉に、トグサは助手席で襟元を寄せる。
「送ってくか」
「いや。いい。あんたんちに行ってくれ」
こんな顔では、帰れない。
もう少し、抜けるまで。酔いとバトーの匂いが薄れるまで。
心の中で言い訳をして、トグサはワイパーに寄せられる雪を眺めた。


「なんだ。まだ、いたのね」
ビルの窓から、道路へと走り出したバトーの車を見下ろして草薙が呟く。
「たまにゃそっとしといてやれよ。聖夜だ」
「甘いって言いたいけど。それもそうね。まだ、酒あるかしら」
イシカワの言葉に頷いて、床に倒れ込んだボーマたちを踏み越えて歩く。
「まだ飲むのかよ。くそっ。本当に高いぞ、バトー」

それぞれの夜を包んで、街は白く染まっていった。

PR
Post your Comment
Name:
Title:
Mail:
URL:
Color:
Comment:
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
trackback
この記事のトラックバックURL:
[30] [31] [32] [28] [27] [26] [25] [24] [23] [22] [21
«  BackHOME : Next »
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索

NOG@ブログ wrote all articles.
Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP  

忍者ブログ[PR]